ONE DAY~1995 TOKYO SESSION & LIVE~ 歌詞&全曲解説

ONE DAY~1995 TOKYO SESSION & LIVE~ 歌詞&全曲解説

 

 

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<ONE DAY>1995 Tokyo Session & Live

01,BACK YARD
02,ドライフラワー
03,糖蜜の海まで
04,どこから来たの君
05,sora e jump!
06,おちた天使とあぶくの夢
07,ラジオエスカレイト
08,夢のない夢物語
09,僕たち恋人
10,太陽に憧れ僕らは地上で鐘を鳴らす(live)
11,切ない分子(live)
12,最低の日々(live)
13,PURE WORLD





01,「BACK YARD」

腐りゆく私生活
ロック文化成れの果て
カタルシスの薬瓶手に取り
昨日のマイムは語り草

BACK YARD I`m playing
Please make my day

あざといなシノプシス
Star Man気取るまがいもの
メルモのキャンディ口に含んで
昨日のマイムは語り草

BACK YARD I`m playing
Please make my day

BACK YARD I`m playing
Please make my day

ROCK BAND,Shake your thin butt
We are the moron
We gonna get on frase

RIDE ON,so rebecca
We are the moron
We gonna get on frase

●今のところ唯一の全く自分で書いてない曲。今でも覚えているが、平田と新中野のスタジオから中野駅に二人で帰る途中、何か曲を書いてみないか、と持ちかけた。その後フレーズとコードと唄メロをサビだけ「バックヤード?」と歌ったオシャレな曲を持って来てくれた。だがしかし頼んだはいいが人の曲に歌詞を乗せるのが初めてだったものでなかなかうまくいかず、仕方がないので岩田麻里さんに振ったら、とてもいい感じに膨らませて歌詞を書いてくれた。とても気に入っているし当時は人気の曲だった。この低いトーンをカッコよく聴かせた録音を今でもしたい曲である。


02,「ドライフラワー」

十分ごとにサイレンが右へ左へ駆けずり回る
気の狂った交差点で踊ってみせるカーチェイス
ギターを抱えたピエロが自分を認めて欲しいと叫ぶ
理想も思想もいいだろう祈っている奴よりかましだ

男は唾を吐き捨て気分直しに口笛を吹いた

風に吹かれているだけじゃ何にも変わんないこと知ってる
時計を投げてみたって何にも変わんないこと知ってる
僕をひと思いに殺ったってきっと何にも変わんないことだろう
ねぇ君、だけどそれは全部嘘だって言ってくれないか

女はひざを抱えて気分直しに歌をうたった

トランクにつめた空虚が溢れそうになると
男は女の手を引きいつものビルへ向かう
非常階段を上がって鉄の扉を蹴り上げ
二人はこれから起こる出来事を予測する
放りあげたトランクはでっかい唇みたいに
スローな動きで落ちてくスローな動きで落ちてく
錆びたフェンスの向こう側一つだけ君に教えてあげよう
世界はドライフラワーだ!

ガレキのビルの屋上でバップのリズムで踊ってみせようか
突き刺す光にあせばみ軽いノッドを感じよう

男は唾を吐き捨て気分直しに口笛を吹いた

●この曲はバンド前から弾き語りでもやってたくらいだから10代の曲かも。それだけにどんだけヴァージョンあるんだよ、ってくらい色んな事を試した。今回はクールに決めた最終形。


03,「糖蜜の海まで」

明日が来る前に
太陽が昇る前に
君を起こして逃げ出さなくちゃ
君を起こして逃げ出さなくちゃ

あいつらがやって来る
夜を壊してやって来る
僕の頭に入り込むんだ
爪の先から入り込むんだ

髪をなびかせながら
向かい風をかみしめた
もしかしたら自由なんて
笑って逃げること

君はスリルを楽しんでる
去年のピクニック気分なんだ
君は奴らを知らなすぎる
笑っているのもそのうちだ

逃げることしか考えつかない
楯突くなんてまっぴらだ
僕の判断はいつだって的確だ
あいつらに侵されてたまるものか

白い石で出来た壁づたいの路地はたしか糖蜜の海まで坂が続く
車輪とサドルの軋んだ音が響く朝霧を自転車でいっきに突き破って
美しい幾何学的な迷路の町に入ればうまく逃げ切れるかも知れない
そして町外れのアンテナの森を一直線に抜ければ向こうの方に海が見えるだろう

髪をなびかせながら
向かい風をかみしめた
もしかしたら自由なんて
笑って逃げること

髪をなびかせながら
向かい風をかみしめた
自由なんて簡単だ
笑って逃げだせ!

●何度も夢で見る知らない街を舞台に書いた。まさに僕らしい曲。この手の曲をやるためにはやはりバンドは不可欠である。なければ贅沢なレコーディングか。いつか録音したい。自転車で疾走しいつの間にか未知の世界に入り込む風景が、うまくバンドサウンドで描かれてると自分では思っている。基本的には今でも同じ夢を見るし逃げることしか考えてない。


04,「どこから来たの?君」


落ちてきた暗闇が我が物顔で歩き出すとき
僕は君の言葉にはまっていた椅子の上
ダークグレイの男が醒めた子守歌を口ずさむとき
読みかけの本はクライマックスの途中で止まったまんま

銀のすべり台が星まで届く夜に
戸惑いながら僕は
君に会おうか迷っている

つけっぱなしのテレビジョンの中の虫たちが動き出す
らんちき騒ぎのヒューマニストがランプを消そうと手を伸ばす
愛しあったふりをした男と女が戯曲を演じ続ける
不祥事続きの神は夜を作ったことを後悔している

銀のすべり台が星まで届く夜に
戸惑いながら僕は
君に会おうか迷っている

神経質なピューマがタイムマシンで逃げ出した
繰り返し繰り返す意味のない発令 WAR IS OVER
息を殺し誰かが次の計画を立て始めた
不祥事続きの神は夜を作ったことを後悔している

銀のすべり台が星まで届く夜に
戸惑いながら僕は
君に会おうか迷っている

どこから来たの?君

●自分の中で核となる短編映画的な作風と、奏でるバンドのハードな特性が完全に一致した曲だと思っている。このテイクの唄は特にサビのピッチが追いつかずイマイチだが、今回は全体的に唄の事は置いといて全体がカッコいい音源を優先した。ボーカルの感情にギターが完全にリンクしいる一曲である。ナイス赤羽根。


05,「sora e jump!」

あの赤錆た螺旋階段を使って
君は颯爽と空へ近づくのだ
僕がメロスの如く走り続けても
君はアリスのように逃げていくだけ

回り回った踊り場でのこと
君の唄った小さなハナウタが
澱んだ風に見事に絡まり
僕の耳を強く刺激してくれたんだ

追いかけど 君つかまらず
果てしない 高く青い空

あわてた君の白いスカートの
コットンレースの淫らな切れ端
十字の刻みが僕らの結末
突き出たビスにはためいて

追いかけて欲しかったのは君だ
僕のあげた嘘のダイヤモンドをしてるから
君は逃げてく様の残像を
七つ数えた踊り場ごとに忘れていたのだ

追いかけど 君つかまらず
果てしない 高く青い空

sora e jump!

●サイケデリックフォークロック的なオレ節チックな曲。歌詞や歌い回しやアレンジを綿密にやって達成感がある割には人気とかは無かったような。わかりにくい感満載。それがオレである。


06,「おちた天使とあぶくの夢」

回る夜がいつもそこに立ってた
墜ちた天使の渦巻く場所で
流れ出した泡の夢は
海の底のゆりかごに揺られてる
破壊された君と僕の行き着く先は
時計の針が指した方角

そうだ今日も空を想おう
浮いた空っぽの
箱庭の中

使い果たした魔法が欲しいのなら
さぁおいで一緒にそこへ行こう

そうだ今日も空を想おう
浮いた空っぽの
箱庭の中

Fallen Angel
Singing over and over
Fallen Angel
Please sing it to me

回る夜がいつもそこに立ってた
墜ちた天使の渦巻く場所で

●ピッチやオレのギターは置いといて、めくるめく感満載なアレンジに仕上がり、そう言う表現がやりたい放題可能であるバンドっていいな、と心底思える。一人で生きてゆくのは、とても厳しい。だから今日も空を想うのだ。そして明日も。


07,「ラジオエスカレイト」

空へ突き刺す 出口へ向かえ
剥き出しの フリーウェイ 先っぽへ

浮き足立ってる君に未来なんかない

風に勝る スピード 感じろ
歪んだ 呪文を 君にかけてあげるから

浮き足立ってる君に未来なんかない

あぁひび割れた音が似合う奴を
what you said you were
might be a strange worm

君は今日も行き先のないsenceless drive
甘ったるいBGMにリズムをとらされてる
僕はちゃちなスピーカーに隠れて君をbrain wash
そして魅惑の世界へ君を招待しようって言うのさ

浮き足立ってる君に未来なんかない

あぁひび割れた音が似合う奴を
what you said you were
might be a strange worm

●まず平田がフレーズとコードを持って来てくれた。そこからセッションしながら唄メロ、アレンジ、歌詞が決まっていった心身ともにロックらしい曲である。さすが平田。だがしかしこう言うヘヴィギターフレージングな曲は僕には皆無だったので新鮮ではあったのだが、その手の曲に慣れてなかったせいか、僕的には色々難しかったし(特にギター)ある意味、勉強にもなった曲である。バンドの皆さんは生き生きしていたが。


08,「夢のない夢物語」

夜の散歩に出かけよう
そいつはとってもいいこと
暗闇の街角で
劇的な出逢いをしよう
お前を探しに行くんだ

夜の散歩に出かけよう
そいつはとってもいいこと
入り組んだ迷路の中で
突然のキスをしよう
お前を探しに行くんだ

スマイルカットの月に乗って
陳腐な街を見下すさ
七色のペンキを振りまいて
夜をぬりたぐれ

夜の散歩に出かけよう
そいつはとってもいいこと
とまらないティーカップ
殺気立ってる人形達
空を駆けめぐる黄色い猫
うずくまってる喜劇役者
回り続けるメリーゴーランド
夢のない夢物語

スマイルカットの月に乗って
陳腐な街を見下すさ
七色のペンキを振りまいて
夜をぬりたぐれ

●これはかなり古い曲で第1期からやってたような。当時ハマっていた稲垣足穂からインスパイヤされ歌詞を書いた記憶が。最初はもう少しマイルドな曲調ではあったが、激しめにリアレンジしてライブ後半の盛り上げ役になった。


09,「僕たち恋人」

僕たち恋人長い恋人
星屑割ったお酒でハイ
ちょっと甘めできついリキュール
ヒマワリの種を煎ったナッツ

夜の芝生は濃い黄緑
ピンクのソファをあつらえよう
アカデミックに星を眺めて
アナクロニズムのリズムをとろう

夜をあやなした あやかしのときが
消え去るのなら すべてひとときに

僕たち恋人甘い恋人
飛沫をあげてはじけるエキス
あふれる思い出酔いの賜物
夜を掘って埋めた宝物

巡り合わせのパズルで遊ぼう
アンモナイトの法則使って
ゆきつく答えは迷宮の中
だけど二人は気づいているはず

夜をあやなした あやかしのときが
消え去るのなら すべてひとときに

誰の仕業かつれないエッセンス
そして二人はまったパラドックス

●このような唄のアプローチをしたいがために作った曲。歌詞が未完のためライブ毎に変えて良いのが生まれたらFIXさせようと思ったが、結局最後まで出来なかった。録音したらいい感じになりそうな曲の一つ。


10,「太陽へ憧れ僕らは地上で鐘を鳴らす」
(LIVE、ベースはサモン)

きっとこれは夢なんだろう
とても粗末な絵空事
偶然なんか信じない
巡り廻りやっと辿り着いた

君がここにいる
僕がここにいるってことが

奇跡を待つな
こと切れるまで

太陽へ憧れ僕らは地上で鐘を鳴らす
青い丘の上息を吸い込んで胸を張って

そして百いくつ数えたら
僕らは確実にここにいない
君が言った「存在を知らせる為の手段」
巡り廻りやっと辿り着いた

太陽へ憧れ僕らは地上で鐘を鳴らす
青い丘の上息を吸い込んで胸を張って
太陽へ憧れ僕らは地上で鐘を鳴らす
いつか全ての胸の隙間に入り込みたい

少しだけ深く思うだけできっと全てはうまくいくはず

●後期の曲。今までやって来た事から少し変化を付けたくなって来た頃の曲。エイトでポップなアプローチに対しメンバー内でも賛否があった。ここら辺からバンドの雲行きがおかしくなっていった印象がある。僕としては新しい方向を模索してる中で書いた曲。


11,「切ない分子」
(LIVE、ベースはサモン)

切ない分子が体の中で弾けた
天まで昇ってパチンと静かに消えた
あやふやな記憶儚くもろい暮らし
わかるでしょう?よくあることでしょう?

切ない言葉が二人の中で弾けた
強く気高い「破壊の後の再生」
気狂いの夜を重ねて僕らは生まれた
傷ついたフィルムが今光放った

夏の夜明け線路沿いの道
長いスカート錆びたフェンス
ライムピールラム薄荷煙草
君の嫌いな古いブルース
夜の映画館砂漠の話
七つの香水ナイフとフォーク
ビルを見上げた13号街路
眠る間際の話の数々
晴れた日の公園座ったベンチ
雨の日の本屋に二匹の猫
君の口癖甘い玉子焼き
青草茂る森の中

君に出遭えてとても良かった
交じり合って高く舞い上がって
いつまでも美しく
咲き続けるだろう

●後期に2回くらいしかやってないので、知っている人はほとんどいない曲。残っている音源もこれしか無い。今回この曲が一番アルバムに入れるか入れまいか迷った曲である。唄の歌詞は間違えだらけで、気持ちだけが先走りピッチも酷いものであるからだ。ただどうしてもこの曲を世に出したかった。素晴らしいバンドアレンジと当時これしか出来なかった歌の表現。これが当時のライブに対する「ライブは自壊である」と言う僕の姿勢を一番表してる。これでいいと思っていた事への、今の自戒も含めて。


12,「最低の日々」
(LIVE、ベースはサモン)

空がカタカタ鳴り出して君の足元がにわかに揺れだした
君はシクシク泣き出したとても怖いリアルな夢を見たんだって
猫はいつでも寝る子君の心配顔に見向きもしないみたい
時計は無造作にしかし正確に針を推し進めるだけのマシン

かき回された琥珀のスウプでオウルの無いボウトに乗ってる気分
君はユラユラクルトンと一緒に渦の源に近づいていく
空に吐いた深いシャウトが強い風なりまたもや吹き付ける
不安定なバランスは捻じ曲がった唇みたいに歪んで見える

世界中の悩みをピストルに詰めて
君が引き金を引く前に
あまつ風に乗ってみれば君もきっとわかるさ
明日は今日よりはましなはず僕は信じたい

僕が世界の果てで見つけたジャックより長い豆の木は
海の祖子より深く沈んだ君を助けるには充分だろう
そして最低の日々にきびすを返し風に乗り大きな深呼吸
結局僕の言う日常なんてシニカルでクールなものくだらないんだよ

世界中の悩みをピストルに詰めて
君が引き金を引く前に
あまつ風に乗ってみれば君もきっとわかるさ
明日は今日よりはましなはず君と信じたい


●文字通り最低な日々を表現したかった曲。この曲も後期で、バンドがすぐ崩壊してしまった為ライブではあまり出来なかった。辺りの中期の頃と比べると曲が完全にイラ付いていて崩壊前に相応しい。こう言う勢いってやっぱり素じゃ出せない。ここから踏ん張って続けるのがきっと、美しいバンドの姿なんだろう。合掌。


13,「PURE WORLD」

赤いざわめきがまとわりついて耳をふさぐ
怠惰なゆらめき押し寄せて動けないよ
吐き出した呼吸が心地よい言葉奇妙な響き
黒い声が背中引きずる何処へ行こうか
気分はどうだい?

●ある意味この曲からこのバンドは始まった。最初から最後まで弾いてくれてた赤羽根も、この曲があったからこそどうにか最後まで一緒にやってくれたんだと感じる。歌詞は昼寝中に幽体離脱して起き上がり外に出たどうなるか玄関のドアを開けた所までの事を書いてみた。