個人的な話だが、私は今月,２０年間近く読み続けた
「ビックコミック　スピリッツ」を買うのをやめた。
理由は何てことはない。
発売日にたまたまお金を持っていなかっただけだ。
たったの２５０円。
それをその日は持っていなかった。
次の日に買いに行ったら売っていなかった。
疲れていたから他のお店は見なかった。
それがきっかけで買わなくなってしまった。
２０年来の習慣が、たった２５０円のために
止まってしまった。

思えば「美味しんぼ」は
私がスピリッツを読み続けていた間
ずっと連載していた。
時の流れと共に絵の感じも変わったが、
登場人物たちの人間関係もそれぞれ変わった。
あの頃はまだ微妙な関係だった山岡と栗田も、
今じゃすっかり良い夫婦。
双子の子供も生まれて４人家族だ。
山岡と海原雄山との親子関係は相変わらずだが、
妻となったゆう子の計らいでいくらか温和になった気もする。
他の登場人物たちもそれぞれ結婚、出産など
人生の一大イベントを通過した。
その中で全く変わらないのが富井副部長である。
食いしん坊で恐妻家なのも変わらなければ、
社内での肩書きも変わらない。
情けないキャラだが皆に愛されている副部長。

今回サトウヨシヤが選んだのは、
その富井副部長である。

サトウヨシヤの
料理まんが三部作。
その２





富井副部長


なにげに似ている。

ひょっとして絵が上手くなっているのではないか。
これを読んでいる方の中には
「普通、これを上手いとは言わないだろう」
と思う方も多いだろうが、
思い出していただきたい。
彼の描いた宇宙戦艦ヤマトを。






ヤマト発進！


これに比べれば
上手いだろう。


さて。
副部長の詳細。

まず原画だが。

右手がヘン。
左手の全ての指に指サックが付いている。
スーツの襟がヘン。
口の中に何かが入っている・・・・・等、
言いたいことは山のようにあるが、
あえて今日は言わずにおこう。




なぜなら。
今回は、彼がどんなこだわりを持って
この絵を描いたかを
皆さんに伝えたいからである。




彼は今回の絵を描いて
新たな自分を発見したらしい。


それは。

「細かいところを描くのが
とっても楽しい♪」


では、細かく描いたところを
ピックアップして見てみましょう。





髪の毛。
確かに細かい。



ネクタイ
これまた確かに細かい。



「細かいところを描いてたら
ハマっちゃってさー、
時間が経つのも忘れて描いちゃった」



自我の芽生え。



これは画家として成長した証拠だろう。
本人は気付いていないかもしれないが、
彼の芸術家としての本能が己の作品に
オリジナリティを求めているということだ。
もう、このコーナーの絵はコピーではない。


カヴァーである。


素晴らしい。


ただし、これはいただけない。





鼻の毛穴。



・・・。